dt {
  clear: left;
  float: left;
  width: 15%;
  font-weight: bold;
  text-align: right;
  padding: 3px 15px 3px 0;
}
dd {
  margin: 0 0 0 20%;
  padding-top: 3px;
  padding-bottom: 3px;
}

tidyverseパッケージ群のひとつで,カテゴリカル変数(Factor型データ)をいじるのに特化したものとしてforcatsパッケージがあります。開発の経緯や詳細はパッケージの公式サイト,および「R for Data Science」のFactorsの章をご覧ください:

今回は,公式サイトの関数リファレンスを参考に,自分向けのメモがてらテストします。

インストール

CRANに登録済み。また,tidyverseパッケージ群なのでtidyverseをインストールすることでも可能。

# {tidyverse}をインストールすれば自動的にインストールされます:
install.packages("tidyverse")

# もちろん,単独でもOK:
install.packages("forcats")

# 開発版が欲しい時はGitHubから:
# install.packages("devtools")
devtools::install_github("tidyverse")

# もちろん{githubinstall}でもOK
# hadrey版とtidyverse版がありますが,たぶんtidyverse版の方がいいかと:
# install.packages("githubinstall")
githubinstall::githubinstall("forcats")

パッケージの読み込み

tidyverseパッケージ群ですが,library(tidyverse)だけでは読み込みません。でもおそらくはそれらを利用することでしょうから,あわせて読み込んでおくといいかと。

library(tidyverse)
library(forcats)

関数一覧のチェック

exportされている関数をチェック。

ls("package:forcats")
#>  [1] "%>%"             "as_factor"       "fct_anon"       
#>  [4] "fct_c"           "fct_collapse"    "fct_count"      
#>  [7] "fct_drop"        "fct_expand"      "fct_explicit_na"
#> [10] "fct_infreq"      "fct_inorder"     "fct_lump"       
#> [13] "fct_other"       "fct_recode"      "fct_relabel"    
#> [16] "fct_relevel"     "fct_reorder"     "fct_reorder2"   
#> [19] "fct_rev"         "fct_shift"       "fct_shuffle"    
#> [22] "fct_unify"       "fct_unique"      "gss_cat"        
#> [25] "lvls_expand"     "lvls_reorder"    "lvls_revalue"   
#> [28] "lvls_union"

関数のリファレンスは,公式サイトのこちらに一覧と説明があります。

使用するデータ

簡単なものについては,その場でさくっと作ります。

大きめのデータでやりたいときは,forcatsパッケージに内包されているgss_catデータを使ってます。データの内容については?gss_catで表示されるヘルプを確認してください。

gss_cat
#> # A tibble: 21,483 x 9
#>     year       marital   age   race        rincome            partyid
#>    <int>        <fctr> <int> <fctr>         <fctr>             <fctr>
#>  1  2000 Never married    26  White  $8000 to 9999       Ind,near rep
#>  2  2000      Divorced    48  White  $8000 to 9999 Not str republican
#>  3  2000       Widowed    67  White Not applicable        Independent
#>  4  2000 Never married    39  White Not applicable       Ind,near rep
#>  5  2000      Divorced    25  White Not applicable   Not str democrat
#>  6  2000       Married    25  White $20000 - 24999    Strong democrat
#>  7  2000 Never married    36  White $25000 or more Not str republican
#>  8  2000      Divorced    44  White  $7000 to 7999       Ind,near dem
#>  9  2000       Married    44  White $25000 or more   Not str democrat
#> 10  2000       Married    47  White $25000 or more  Strong republican
#> # ... with 21,473 more rows, and 3 more variables: relig <fctr>,
#> #   denom <fctr>, tvhours <int>
names(gss_cat)
#> [1] "year"    "marital" "age"     "race"    "rincome" "partyid" "relig"  
#> [8] "denom"   "tvhours"

factorのorderを変更

factorに設定してあるlevelsはそのままで,順序(order)を変更します。モデリングや表,可視化において効果を発揮します。

登場順でfactorのlevelsを再整理(fct_inorder)

いわゆる“出てきた順”でlevelsのorderを設定するには,fct_inorder()関数を使用します

使い方

fct_inorder(f)

引数

f

factor型のデータ。levelsを並べ替えたいデータを指定してください。

説明と具体例

そのまんまで,引数に指定したfactor型データのレベルを,要素が出てきた順にします。

f <- factor(c("b", "b", "a", "c", "c", "c"))
f
#> [1] b b a c c c
#> Levels: a b c
fct_inorder(f)
#> [1] b b a c c c
#> Levels: b a c

登場頻度順でfactorのlevelsを再整理(fct_infreq)

データ内で出てきた“頻度が多い順”でlevelsのorderを設定するには,fct_infreq()関数を使用します。

使い方

fct_infreq(f)

引数

f
factor型のデータ。levelsを並べ替えたいデータを指定してください。

説明と具体例

そのまんまで,引数に指定したfactor型データのレベルを,要素が出てきた順にします。

f <- factor(c("b", "b", "a", "c", "c", "c"))
f
#> [1] b b a c c c
#> Levels: a b c
fct_infreq(f)
#> [1] b b a c c c
#> Levels: c b a

手作業でfactorのlevelsを再整理(fct_relevel)

levelsの順番を,手作業で並べ替えます。

使い方

fct_relevel(f, ...)

引数

f
factor型のデータ。levelsを並べ替えたいベクトルを指定してください。
文字列ベクトルを指定。指定した値を,levelsの左側(先頭)へ持って行き,それ以外は後ろへシフトします。

説明と具体例

要するにbase::relevel()のラッパーで,...の部分で指定した値を前に持ってくるようになります。なお,全ての要素を準備してわざわざ指定しなくても,指定しなかった要素は自動的に後ろへそのままシフトします。

f <- factor(c("a", "b", "c"))
fct_relevel(f)
#> [1] a b c
#> Levels: a b c
fct_relevel(f, "c")
#> [1] a b c
#> Levels: c a b
fct_relevel(f, "b", "a")
#> [1] a b c
#> Levels: b a c

また,存在しないlevelsの値を指定すると警告が出て,その要素は無視されます。

fct_relevel(f, "d")
#> Warning: Unknown levels in `f`: d
#> [1] a b c
#> Levels: a b c
fct_relevel(f, "b", "d")
#> Warning: Unknown levels in `f`: d
#> [1] a b c
#> Levels: b a c
fct_relevel(f, "d", "b")
#> Warning: Unknown levels in `f`: d
#> [1] a b c
#> Levels: b a c

他の1変数に従ってソートするようlevelsを再整列(fct_reorder)

他の変数を使って,levelsをソートします。例えば「各カテゴリでのxの中央値を使い,その降順になるようにlevelsをソートしたい」という時に使います。

使い方

fct_reorder(f, x, fun = median, ..., .desc = FALSE)

引数

f
factor型のベクトル。
x
並べ替えの基準に利用する変数。この変数を下のfunで指定する集計用関数にあてた結果をソートに利用します。
fun
集計用関数を指定。デフォルトではmedian。なお返り値が単一ベクトルになるものでなければいけません。
funに送る他の引数をここで指定します。よくあるのはna.rm = TRUEなどです。
.desc
論理値を指定。降順/昇順を指定します。デフォルトはFALSE昇順

説明と具体例

1次元データでのグラフを描くときや,集計表を作成するときに効果を発揮するでしょう。例えば,以下のようなパターンを想定します:

boxplot(Sepal.Width ~ Species, data = iris)

ここで,「Sepal.Widthの大きさの順番でX軸を並べ替えたい」時に,以下のように使います:

boxplot(Sepal.Width ~ fct_reorder(Species, Sepal.Width), data = iris)

また,デフォルトでは中央値を使っていますが,変更も可能です:

boxplot(Sepal.Width ~ fct_reorder(Species, Sepal.Width, fun = sample, size = 1), data = iris)

もし,降順にしたい場合は,以下のように当ててください:

boxplot(Sepal.Width ~ fct_reorder(Species, Sepal.Width, .desc = TRUE), data = iris)

これらはもちろんggplot2でも有効です。以下のようなパターンを想定します:

library(ggplot2)
ggplot(iris, aes(Species, Sepal.Width)) +
  geom_boxplot()

先ほどと同様に変更します:

ggplot(iris, aes(fct_reorder(Species, Sepal.Width), Sepal.Width)) +
  geom_boxplot() +
  labs(x = "Species")

なお,2変数をキーとする場合は,fct_reorder2を使います。

他の2変数に従ってソートするようlevelsを再整列(fct_reorder2)

他の変数を使って,levelsをソートします。fct_reorderとの違いは,ソートに利用する変数が2つだという点です。

使い方

fct_reorder2(f, x, y, fun = last2, ..., .desc = FALSE)

引数

f
factor型のベクトル。
x, y
並べ替えの基準に利用する変数。この変数を下のfunで指定する集計用関数にあてた結果をソートに利用します。
fun
集計用関数を指定。デフォルトに設定してあるlast2はこのパッケージ内にある関数(後述)。
funに送る他の引数をここで指定します。よくあるのはna.rm = TRUEなどです。
.desc
論理値を指定。降順/昇順を指定します。デフォルトはFALSE降順

説明と具体例

基本的な考え方はfct_reorderと同様です。

なお,引数funのデフォルトに設定しているlast2という関数は,以下のように定義してあります:

last2 <- function(x, y) {
  y[order(x, na.last = FALSE)][length(y)]
}

つまりxの昇順に従ってyをソートし,それの一番下の要素を返すという関数です1。これを各factorの要素ごとにtapplyして求めた値を使い,levelsの値を並べ替えています。もちろんmedianmeanなどの関数を当てることも可能です。

これが最も効果を発揮するのは,凡例に当てているカテゴリカル変数をソートしたい時などでしょう。例えば,以下のようなパターンを想定します:

chks <- subset(ChickWeight, as.integer(Chick) < 10)
chks <- transform(chks, Chick = fct_shuffle(Chick))

ggplot(chks, aes(Time, weight, colour = Chick)) +
  geom_point() +
  geom_line()

凡例のところを見ると,データのlevels設定そのままに順序が決定されており,グラフに描かれているのとマッチングがしにくくなります。

そこで,Times(x軸)とweight(y軸)の大きい要素に対応するようChick(color要素,凡例のこと)のlevelsを設定します:

ggplot(chks, aes(Time, weight, colour = fct_reorder2(Chick, Time, weight))) +
  geom_point() +
  geom_line() +
  labs(colour = "Chick")

各系列(factorの各levels)の一番右の要素を用いて,降順になるようlevelsが並べ替えられます。

levelsの順序を反転(fct_rev)

順序を反転させます。

使い方

fct_rev(f)

引数

f
factor型のベクトル。

説明と具体例

タイトルのとおりです。factor型データを利用したプロットで使えるでしょう。

f <- factor(c("a", "b", "c"))
fct_rev(f)
#> [1] a b c
#> Levels: c b a

順序付きfactorデータのlevelsの順序をずらす(fct_shift)

順序付きfactorデータで,そのlevelsをずらしていきます。回転するイメージです。

使い方

fct_shift(f, n = 1L)

引数

f
factor型のベクトル。
n
ずらす(回転させる)数。正の値なら左へシフトし,負の値なら右へシフトします。

説明と具体例

例えば曜日名や月名など,循環するような場合に効果を発揮します。たとえば,以下のようなデータを想定します:

x <- factor(
  c("Mon", "Tue", "Wed"),
  levels = c("Sun", "Mon", "Tue", "Wed", "Thu", "Fri", "Sat"),
  ordered = TRUE
)
x
#> [1] Mon Tue Wed
#> Levels: Sun < Mon < Tue < Wed < Thu < Fri < Sat

これを,一つ左へずらしてみます:

fct_shift(x)
#> [1] Mon Tue Wed
#> Levels: Mon < Tue < Wed < Thu < Fri < Sat < Sun

ずらしたい数を指定することも可能です:

fct_shift(x, n = 2)
#> [1] Mon Tue Wed
#> Levels: Tue < Wed < Thu < Fri < Sat < Sun < Mon

左ではなく右へずらす場合は,負の値にします:

fct_shift(x, n = -2)
#> [1] Mon Tue Wed
#> Levels: Fri < Sat < Sun < Mon < Tue < Wed < Thu

順番をシャッフル(fct_shuffle)

シャッフルします。

使い方

fct_shuffle(f)

引数

f
factor型のベクトル

説明と具体例

levelsの値をシャッフルします。元のデータ値はシャッフルされません。

f <- factor(c("a", "b", "c"))
fct_shuffle(f)
#> [1] a b c
#> Levels: b a c
fct_shuffle(f)
#> [1] a b c
#> Levels: c a b

factorのlevelsの値を変更

順番を(可能な限り)保持したまま,levelsの値を変更させます。

factorのlevelsの値を匿名化(fct_anon)

levelsの値を適当な連番にランダムに置換して,元のがlevelsの値をわからないようにします。

使い方

fct_anon(f, prefix = "")

引数

f
factor型のベクトル。
prefix
ランダムなラベルの前に付与する文字列。

説明と具体例

上記のとおりです。なおlevelsの値も元々のlevelsのorderも保持されません。「factorのlevelsをちょっとそのままでは出せないなぁ」という時に活用できます。

たとえば,以下のようなデータを想定します:

gss_cat$relig %>% fct_count()
#> # A tibble: 16 x 2
#>                          f     n
#>                     <fctr> <int>
#>  1               No answer    93
#>  2              Don't know    15
#>  3 Inter-nondenominational   109
#>  4         Native american    23
#>  5               Christian   689
#>  6      Orthodox-christian    95
#>  7            Moslem/islam   104
#>  8           Other eastern    32
#>  9                Hinduism    71
#> 10                Buddhism   147
#> 11                   Other   224
#> 12                    None  3523
#> 13                  Jewish   388
#> 14                Catholic  5124
#> 15              Protestant 10846
#> 16          Not applicable     0

これに対し,fct_anon()を挟むとこうなります:

gss_cat$relig %>% fct_anon() %>% fct_count()
#> # A tibble: 16 x 2
#>         f     n
#>    <fctr> <int>
#>  1     01    32
#>  2     02 10846
#>  3     03  3523
#>  4     04   689
#>  5     05    95
#>  6     06   109
#>  7     07  5124
#>  8     08   388
#>  9     09   224
#> 10     10   147
#> 11     11     0
#> 12     12    93
#> 13     13   104
#> 14     14    23
#> 15     15    71
#> 16     16    15

このように,levelsの値が連番の数値に書き換えられたというのが解ると思います。また,カウント数を比較してもらえばわかるように,その連番の与え方はランダムになっています。

なお,連番の前に好きな文字列をつけることが可能です:

gss_cat$relig %>% fct_anon("kosaki") %>% fct_count()
#> # A tibble: 16 x 2
#>           f     n
#>      <fctr> <int>
#>  1 kosaki01   109
#>  2 kosaki02   224
#>  3 kosaki03    95
#>  4 kosaki04  5124
#>  5 kosaki05    23
#>  6 kosaki06   689
#>  7 kosaki07   147
#>  8 kosaki08 10846
#>  9 kosaki09    32
#> 10 kosaki10    15
#> 11 kosaki11   104
#> 12 kosaki12     0
#> 13 kosaki13    93
#> 14 kosaki14   388
#> 15 kosaki15    71
#> 16 kosaki16  3523

factorのlevelsを手動で落とし込み(fct_collapse)

自分で定義したlevelsのグループへ,factorの値を落とし込みします。

使い方

fct_collapse(f, ...)

引数

f
factor型のベクトル
名前付きベクトルのシリーズ。それぞれのベクトル内にあるlevelsの値が,指定したものへと置換されます。

説明と具体例

要するに,「複数のlevelsをまとめて一つのlevelsになるようにまとめていく」ことをしてくれます。たとえば,以下のようなデータを想定します:

fct_count(gss_cat$partyid)
#> # A tibble: 10 x 2
#>                     f     n
#>                <fctr> <int>
#>  1          No answer   154
#>  2         Don't know     1
#>  3        Other party   393
#>  4  Strong republican  2314
#>  5 Not str republican  3032
#>  6       Ind,near rep  1791
#>  7        Independent  4119
#>  8       Ind,near dem  2499
#>  9   Not str democrat  3690
#> 10    Strong democrat  3490

現在10のlevelsがあります。これを5つにまとめていきます:

partyid2 <- fct_collapse(gss_cat$partyid,
  missing = c("No answer", "Don't know"),
  other = "Other party",
  rep = c("Strong republican", "Not str republican"),
  ind = c("Ind,near rep", "Independent", "Ind,near dem"),
  dem = c("Not str democrat", "Strong democrat")
)
fct_count(partyid2)
#> # A tibble: 5 x 2
#>         f     n
#>    <fctr> <int>
#> 1 missing   155
#> 2   other   393
#> 3     rep  5346
#> 4     ind  8409
#> 5     dem  7180

このようになります。なお,もちろんこの処理により新たに振り分けたlevelsの値へと実際の値も変換されますので注意してください。

head(partyid2)
#> [1] ind rep ind ind dem dem
#> Levels: missing other rep ind dem

小さい/大きいlevels項目をotherに固める(fct_lump)

上位あるいは下位の要素を,「other(その他)」と塊(lump)にくくります。

使い方

fct_lump(f, n, prop, other_level = "Other", ties.method = c("min","average", "first", "last", "random", "max"))

引数

f
factor型のベクトル
n, prop
nは,その他(other)にしない残すlevels数を指定します。正の値であれば,メジャーなlevelsをabs(n)だけ残し,負の値であれば,マイナーなlevelsをabs(n)だけ残します。
propは,その他(other)にするlevelsのカットポイント比率を指定します。各levelsの発生数/全発生数を算出し,それとpropで指定した比率とを比較していきます。
正の値であれば,構成比率がカットポイント(prop)より低いlevelsを全て“Other”にし,負の値であれば,カットポイントを反転させた正の値(-prep)より構成比率が大きいlevelsを全て“Other”にします。
other_level
その他(Other)に設定するlevelsの値。
ties.method
頻度が同値のlevelsについてどのようなmethodを用いてランク付けするかを文字列で指定します。詳しくは?base::rankを参照。

説明と具体例

要するに,「細かいのは全て“その他”にしてしまおう」というのを実現するものです。以下のようなデータを想定します:


x <- factor(letters[rpois(100, 5)])
x
#>  [1] d b f f e e e d g f g c e e d f f f g f g f d e e b a e e c e c d d a
#> [36] a b c h c d f c e e d e e f d d a e b b e b f e e h e e d i g h g e e
#> [71] d d d e d c a g h c d k d g g g e g e d e d d g g c b k
#> Levels: a b c d e f g h i k
table(x)
#> x
#>  a  b  c  d  e  f  g  h  i  k 
#>  5  7  9 20 26 11 13  4  1  2

このxに,fct_lump()をあてると以下のようになります:

fct_lump(x)
#>  [1] d     b     f     f     e     e     e     d     g     f     g    
#> [12] c     e     e     d     f     f     f     g     f     g     f    
#> [23] d     e     e     b     a     e     e     c     e     c     d    
#> [34] d     a     a     b     c     h     c     d     f     c     e    
#> [45] e     d     e     e     f     d     d     a     e     b     b    
#> [56] e     b     f     e     e     h     e     e     d     Other g    
#> [67] h     g     e     e     d     d     d     e     d     c     a    
#> [78] g     h     c     d     Other d     g     g     g     e     g    
#> [89] e     d     e     d     d     g     g     c     b     Other
#> Levels: a b c d e f g h Other
table(fct_lump(x))
#> 
#>     a     b     c     d     e     f     g     h Other 
#>     5     7     9    20    26    11    13     4     3

このように,少数の発生数しかないlevelsはOtherへとまとめられます。なお,まとめられたOtherはlevelsで一番後ろになります。

まとめる基準についてですが,デフォルトでは,Otherにまとめた際に,Otherが各レベルで最小となるように,自動でカットポイントが設定されます。上のパターンの場合,Otherの次に大きいのを取り込んでしまうと,Otherが一番小さくならないためにここでストップしています。

引数にあるnを指定することで,残すlevels数を指定することができます。正の値を指定すると,頻度順で大きい方からn個残して,残りをOtherにまとめます:

fct_lump(x, n = 3)
#>  [1] d     Other Other Other e     e     e     d     g     Other g    
#> [12] Other e     e     d     Other Other Other g     Other g     Other
#> [23] d     e     e     Other Other e     e     Other e     Other d    
#> [34] d     Other Other Other Other Other Other d     Other Other e    
#> [45] e     d     e     e     Other d     d     Other e     Other Other
#> [56] e     Other Other e     e     Other e     e     d     Other g    
#> [67] Other g     e     e     d     d     d     e     d     Other Other
#> [78] g     Other Other d     Other d     g     g     g     e     g    
#> [89] e     d     e     d     d     g     g     Other Other Other
#> Levels: d e g Other
table(fct_lump(x, n = 3))
#> 
#>     d     e     g Other 
#>    20    26    13    39

ここでnに負の値を指定すると,頻度順で小さい方からn個残して,残りをOtherにまとめます:

fct_lump(x, n = -3)
#>  [1] Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [12] Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [23] Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [34] Other Other Other Other Other h     Other Other Other Other Other
#> [45] Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [56] Other Other Other Other Other h     Other Other Other i     Other
#> [67] h     Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [78] Other h     Other Other k     Other Other Other Other Other Other
#> [89] Other Other Other Other Other Other Other Other Other k    
#> Levels: h i k Other
table(fct_lump(x, n = -3))
#> 
#>     h     i     k Other 
#>     4     1     2    91

このように個数でカットポイントを指定するのではなく,発生確率でカットポイントを指定するには引数propを利用します。まず,各levelsの発生数/全発生数でlevelsごとの発生確率が算出され,それとpropで指定した確率とを比較してジャッジします:

# 参考までに発生確率を算出
kosaki <- table(x)
kosaki/sum(kosaki)
#> x
#>          a          b          c          d          e          f 
#> 0.05102041 0.07142857 0.09183673 0.20408163 0.26530612 0.11224490 
#>          g          h          i          k 
#> 0.13265306 0.04081633 0.01020408 0.02040816

ここで,カットポイントとしてprop = 0.1を指定すると,発生確率が0.1以下のlevelsを全てOtherにまとめます:

# propを使ってまとめる
fct_lump(x, prop = 0.1)
#>  [1] d     Other f     f     e     e     e     d     g     f     g    
#> [12] Other e     e     d     f     f     f     g     f     g     f    
#> [23] d     e     e     Other Other e     e     Other e     Other d    
#> [34] d     Other Other Other Other Other Other d     f     Other e    
#> [45] e     d     e     e     f     d     d     Other e     Other Other
#> [56] e     Other f     e     e     Other e     e     d     Other g    
#> [67] Other g     e     e     d     d     d     e     d     Other Other
#> [78] g     Other Other d     Other d     g     g     g     e     g    
#> [89] e     d     e     d     d     g     g     Other Other Other
#> Levels: d e f g Other
table(fct_lump(x, prop = 0.1))
#> 
#>     d     e     f     g Other 
#>    20    26    11    13    28

また,このprepに負の値を指定すると,(正の値へ変換した)カットポイントの確率より大きいものを全てOtherにまとめます:

fct_lump(x, prop = -0.1)
#>  [1] Other b     Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [12] c     Other Other Other Other Other Other Other Other Other Other
#> [23] Other Other Other b     a     Other Other c     Other c     Other
#> [34] Other a     a     b     c     h     c     Other Other c     Other
#> [45] Other Other Other Other Other Other Other a     Other b     b    
#> [56] Other b     Other Other Other h     Other Other Other i     Other
#> [67] h     Other Other Other Other Other Other Other Other c     a    
#> [78] Other h     c     Other k     Other Other Other Other Other Other
#> [89] Other Other Other Other Other Other Other c     b     k    
#> Levels: a b c h i k Other
table(fct_lump(x, prop = -0.1))
#> 
#>     a     b     c     h     i     k Other 
#>     5     7     9     4     1     2    70

npropの両方を指定した場合,ソースコードを見る限りnを優先して処理するようです(2017/01/13現在)。

もし発生頻度が同一のlevelsがある場合,ties.methodにてランク付けmethodを指定できます。これはbase::rank()に従いますので,そちらを参照してください。

なお,“Other”のlevelsの値はother_levelsにて指定できます。

factorのlevelsの値を手動で変更(fct_recode)

levelsの各値を手動で変更します。

使い方

fct_recode(f, ...)

引数

f
factor型のベクトル
新しく設定するlevels値を名前付き文字列ベクトルで指定。

説明と具体例

そのままです:

x <- factor(c("apple", "bear", "banana", "dear"))
fct_recode(x, fruit = "apple", fruit = "banana")
#> [1] fruit bear  fruit dear 
#> Levels: fruit bear dear

なお存在しないlevels値を使用すると警告が出て,その部分は無視されます:

fct_recode(x, fruit = "apple", fruit = "bananana")
#> Warning: Unknown levels in `f`: bananana
#> [1] fruit  bear   banana dear  
#> Levels: fruit banana bear dear

また,新しいlevels値にNULLを指定すると,そのレベルが削除されて値も削除されます:

fct_recode(x, NULL = "apple", fruit = "banana")
#> [1] <NA>  bear  fruit dear 
#> Levels: fruit bear dear

新しいlevelsを追加

新しいlevelsの値を追加します。

factorにlevelsを追加(fct_expand)

そのまんまです。

使い方

fct_expand(f, ...)

引数

f
factor型のベクトル。
追加したいlevels値を文字列で指定。

説明と具体例

そのまんまです。

f <- factor(sample(letters[1:3], 20, replace = TRUE))
f
#>  [1] b a c a c b b b b b a a b c a b a c a b
#> Levels: a b c
fct_expand(f, "d", "e", "f")
#>  [1] b a c a c b b b b b a a b c a b a c a b
#> Levels: a b c d e f
fct_expand(f, letters[1:6])
#>  [1] b a c a c b b b b b a a b c a b a c a b
#> Levels: a b c d e f

NAに“欠損値”というlevelsを付与(fct_explicit_na)

factor型データ内にNAが存在する場合,その値に“(Missing)”というlevels値をつけます。

使い方

fct_explicit_na(f, na_level = "(Missing)")

引数

f
factor型のベクトル。
na_level
NAに設定するlevels値

説明と具体例

NAは通常levelsがうまく付与することができなかったりします:

f1 <- factor(c("a", "a", NA, NA, "a", "b", NA, "c", "a", "c", "b"))
f1
#>  [1] a    a    <NA> <NA> a    b    <NA> c    a    c    b   
#> Levels: a b c
table(f1)
#> f1
#> a b c 
#> 4 2 2

この関数は,そんなNAに明示的にlevelsの値を振れるようにするものです:

f2 <- fct_explicit_na(f1)
f2
#>  [1] a         a         (Missing) (Missing) a         b         (Missing)
#>  [8] c         a         c         b        
#> Levels: a b c (Missing)
table(f2)
#> f2
#>         a         b         c (Missing) 
#>         4         2         2         3

要するに,「NAを別の文字列に置換して,そのままlevelsの値に設定する」という処理を行ってくれます。

その他

複数のfactorデータを連結してlevelsを結合(fct_c)

複数のfactor型データをまとめたlistデータの内部を参照し,それを連結させてlevelsも結合させます。

使い方

fct_c(fs)

引数

fs
factor型ベクトルを束ねたlist型データ

説明と具体例

タイトルのとおりで,自動的にいい感じにまとめてくれます:

fs <- list(factor("a"), factor("b"), factor(c("a", "b")))
fct_c(fs)
#> [1] a b a b
#> Levels: a b

factorの各要素の出現数をカウント(fct_count)

タイトルのとおりで,factor型に特化したcount関数です。

使い方

fct_count(f, sort = FALSE)

引数

f
factor型のベクトル
sort
TRUEを指定すると,頻度の降順でソートします。

説明と具体例

タイトルのとおりですが,返り値がtibbleclassなのが特徴です。tableと違い,tidyverseな他の関数との相性がよく,使いやすいでしょう。

f <- factor(sample(letters)[rpois(1000, 10)])
table(f)
#> f
#>   a   b   d   e   f   g   h   i   j   k   l   m   n   o   q   s   u   v 
#>  33   1  82 130  37  14  51  10  46  12  79   1  43   7   8  90   1 112 
#>   w   x   y   z 
#>   4 108 129   2
fct_count(f)
#> # A tibble: 22 x 2
#>         f     n
#>    <fctr> <int>
#>  1      a    33
#>  2      b     1
#>  3      d    82
#>  4      e   130
#>  5      f    37
#>  6      g    14
#>  7      h    51
#>  8      i    10
#>  9      j    46
#> 10      k    12
#> # ... with 12 more rows
fct_count(f, sort = TRUE)
#> # A tibble: 22 x 2
#>         f     n
#>    <fctr> <int>
#>  1      e   130
#>  2      y   129
#>  3      v   112
#>  4      x   108
#>  5      s    90
#>  6      d    82
#>  7      l    79
#>  8      h    51
#>  9      j    46
#> 10      n    43
#> # ... with 12 more rows

使われていないlevelsをドロップ(fct_drop)

そのままです。

使い方

fct_drop(f)

引数

f
factor型のベクトル

説明と具体例

タイトルの通りでdroplevels()と同じなのですが,こちらは問答無用で使ってないものを削除します。

f <- factor(c("a", "b"), levels = c("a", "b", "c"))
f
#> [1] a b
#> Levels: a b c
fct_drop(f)
#> [1] a b
#> Levels: a b

factorデータのリスト内でlevelsを統一(fct_unify)

リスト内のfactorデータ内のlevelsを全て参照し,統一させます。

使い方

fct_unify(fs, levels = lvls_union(fs))

引数

fs
ファクター型ベクトルを束ねたlist型データ。
levels
参照して統合させるlevelsのリスト。

説明と具体例

複数のfactor型ベクトルを参照して,その中でlevelsが異なっている場合には共通となるようにlevelsを統合して全てに同じlevelsを付与します。

fs <- list(factor("a"), factor("b"), factor(c("a", "b")))
fct_unify(fs)
#> [[1]]
#> [1] a
#> Levels: a b
#> 
#> [[2]]
#> [1] b
#> Levels: a b
#> 
#> [[3]]
#> [1] a b
#> Levels: a b

これを元に,ベクトルにまとめたものを返すのがfct_c()となります。

unique()の出力をfactorのlevels順で出力(fct_unique)

factor型データからユニークな値を返します。

使い方

fct_unique(f)

引数

f
ファクター型ベクトル

説明と具体例

上記のとおりで,unique()とほぼ一緒なのですが,返り値が多少変わります:

f <- factor(letters[rpois(100, 10)])

unique(f)
#>  [1] o k j g m h l n i p e d f c q
#> Levels: c d e f g h i j k l m n o p q
fct_unique(f)
#>  [1] c d e f g h i j k l m n o p q
#> Levels: c d e f g h i j k l m n o p q

このようにunique()だと返り値は出現順になりますが,fct_unique()では返り値はlevelsの順序となります。

factorデータのリスト内にある全てのlevelsを探す(lvls_union)

factor型を束ねたリスト内を参照し,全てのlevelsを探してピックアップします。

使い方

lvls_union(fs)

引数

fs
factor型ベクトルのリスト

説明と具体例

上記のとおりです:

fs <- list(factor("a"), factor("b"), factor(c("a", "b")))
lvls_union(fs)
#> [1] "a" "b"

このようにして全て拾いだしたlevelsを使って,それぞれのfactor型ベクトルへ付与して統一させるのがfct_unifyとなります。

levels操作用の低水準関数(lvls_reorder, lvls_revalue, lvls_expand)

これらの関数は,これまで紹介してきた関数(fct_*)よりも低水準な機能を持ちますが,より個別的な事例では役に立つこともあるかと。ただ引数には注意してほしいとのことです。

詳細については省略します。公式サイトの情報を参照してください。

雑感

これまで苦労していたfactor型のlevelsをいじるにあたって,かゆいところに手が届く感じです。Rでfactor型は面倒だと感じることが多かったですが,これらの関数があればずっと楽になるのは間違いないでしょう。

あと,今回の検証では日本語を一切試していません。たぶん大丈夫だとは思うのですが…だれか検証してください。

このドキュメントに関する問い合わせはTwitterのkazutanまでおねがいします。わからない点についてはSlackのr-wakalangなどで質問してみるといいかとおもいます。

Enjoy!


  1. たぶん「2変数での一番大きい値」というニュアンスでlast2とつけているんでしょうけど…それでいいのかという思いがあります。